Career 4 Beautiesキャリアドクターとの対談2022年9月30日UP

かつて住み慣れた街「錦糸町」
美容外科クリニックを“ミニマム開業”したLilaClinic土佐 将人院長に、
美容への転科からクリニック開業に至るまでの想いなどをお聞きしました。

LilaClinic土佐 将人院長

Lila Clinic 土佐将人先生

美容は一方通行の医療ではなく、フィードバックのある医療なんです。
だからこそ、堅実な医療を提供していくんです!

改めてご開業おめでとうございます! ありがとうございます。

今回、錦糸町で開院されましたが、その意図は? 美容に転科する前に、錦糸町に住んでいたこともあって、住み心地、下町という穴場感、交通のアクセス、家賃も(都心部に比べて)安いという点で、ここがいいかなと考えていました。
例えば、そこに美味しいラーメン屋があって、そこに行きたいと思えば予定をたてて多少遠くても行くのでは、とも考えて。
開業するなら「錦糸町」一択でした!

一択? はい、決めてました!(笑)

「開業」という新たなキャリアを選択した背景は? 勤務医時代はスタッフが多くて、さすがに様々な職種の方が20名もいると、いろいろと大変なんですね。
そこで、もし自分が開業したら、全て目の届く範囲がいいかな?と。
実際、他のクリニックからも誘われたんですけど、結局は「雇われ」ではどこも一緒だな。
これからのドクター人生、20年あるとすれば、だったら開業がいいかな…と思いが強くなって。
それでも開業を考えはじめたのは、2021年秋くらいからですかね。
物件探しを始めて、同時に方向性も考え始めたんです。
そこで、安全性と自分の技量を考え、それでミニマム・スタイルで行こう!と決めたんです。

ミニマム・スタイルは実際どんな内容ですか? 施術もほぼほぼ自分やって、こじんまりとした環境です。
実際、人件費も安く、施術も適正料金に、極力広告費や機械のコストを抑え、無理がないこと。

なるほど~、更に詳しくお願いします! 目回りの手術をする場合、大きな設備投資は不要ですし、前職のメニューの中から自分ができる施術に絞ったので、このスタイルでいけるかな?
ゼロスタートだけど、これから徐々に少しずつ上がっていければいいかな?・・・という感じ。もう少しで軌道に乗るかと。

美容外科でミニマム・スタイルはあまり聞いたことがないですね そうかもしれません。今後、ミニマムの波は来ると思います!

勤務医時代が長かったと思いますが、開業への不安はありましたか? はい、今でもありますよ(笑)
開業当初の1~2か月が不安は多かったですね~
他の先生の成功例などをSNSで見ると、引け目も感じたり・・・
でも、そこは自分のやってきたこと、経験を信じるしかないと!
ポリシーを信じるしかないですね!

少し時計の針を戻しますが、美容に転科されて感じたことは? 外科で綺麗なOPEができれば「はいっ!すごいドクター!」となればいいけど…
そういう世界ではないなぁ、と。実際は技術以外で争っている。
それは、トーク力であったり、SNSの力だったりそんなところを求められるし、
なんか思っていた美容外科の技術だけでの競争ではないな~
美容外科に入ってそう思いました。

「転科」した美容クリニックとはどんな存在でしたか? 他の方は知りませんけど、自分にとっては、結構いいところでしたよ!
何がいいかというと、比較的自由にやらしてもらえました(笑)
常に売上を意識することもありましたけど、在籍期間中、居心地はとても良かったです。
地方院でも、都心部にはない経験を積むことができました。
今は感謝でしかないですね!

地方院にも行かれてましたが? はい、こちらは異動で行きました。 北海道、仙台、九州…話がある中、人気が最下位の或る地方院でした。
最初は、あぁ…オレの人生終わったな…と(苦笑)
断るアドバイスもあったけど、断るのもなぁ…
覚悟を決めて臨みましたが、今振り返ると早いです。

大手の地方院で腕が上がる!は本当か 院では自分一人だし、半年・1年経つとある程度キャリアは完成するんです。
入職後の配属先から2院勤務しまして、この部分で限界かな?と思っていたけど、地方院の時代に更に上手くなる。年々、上手くなっている感じがしました。
プレッシャーもあるかな?
自分で手術写真を見返すなどで色々なものが蓄積されます。
診療の数が増えれば増えるほど、経験も伸びる。 これは感覚の問題だけど、開業した今でも成長があって伸びているのがわかる。
結果、異動を断らずに3年頑張ったことが良かったな?

先生にとって美容医療とは? 美容はしんどい…と感じますね。
美容は一方通行の医療ではなく、フィードバックのある医療。ここは本質です!
不安はつきないですけど、楽しい仕事もしたい。
かといって儲けを優先しようとは思わない。
これからも堅実に医療を提供していくことが使命かな。
でも、ここ数年で美容の景色が変わるかもしれないですね

印象に残った患者さんは? 患者さんの顔は意外と覚えていて…
久しぶりに会った患者さんで「あっ、この人か」みたいな感じで。
印象に残ったことといえば、確か5年ほど前の患者さんで、今回SNSに連絡がありまして。
この患者さん…その当時、目回りのオペで苦労してたんですよ。
「以前に先生に手術をして頂いたものです。先生のお蔭で良い目ができて、今でも感謝してます。このたびお蔭様で結婚できました、土佐先生のお蔭で良い人生を歩ませてもらってます・・・」そんなような内容でした。
とても嬉しかったです。こういった連絡を頂くと美容外科医として仕事のやりがいを感じます。

実に素敵なお話ですね! そうなんです。本当にありがたいです。

美容を志した背景は? 脳外科6,7年からの美容への転科は、異色かもしれないですね。
自分は脳神経外科に向いてないかな?10時間のオペ、翌日もオペやって…の毎日がしんどいなと。
むしろ内科向きの性格で、少し離島のドクター的でもあるけど、でもオペもしたい…
ややこしいけど…(笑)
患者さんと話すのも好き、オペも好き。美容はオンとオフがあって、これはあってるな!
脳神経外科に進む中3,4年目から「美容かも?」と想っていた。
この先20年脳外科医は厳しいと気づいたこともあって美容の門をたたいたんです。

仕事への想いは? 手術、処置の前は気を遣います。正直、疲れますね。
本気でやるからパワーを使います。1日数件でも疲労するくらいなので。
前職では件数をこなすことが中心でしたが、今は100%満足を考える。家でも考えますよ。
また、目先のお金をもらって、恨みを残してしまうのは…決して気持ちのいいのもではない
せっかくお金を稼いでも、何かを失うのはでかい!
徳を積むことで、もっと良い仕事をしたいし、楽しいと思える仕事をしたい。
顔は100人とも違うので同じものは提供できないんです。
拘りはあります!

オフはどのように? ・・・自分は切り替えが下手だと思う。
時間の使い方もちょっと…
この仕事のオンとオフに助けられてます(笑)

美容ドクターとして必要なメンタリティーとは? 美容は華やかな業界なのですが、すべて上手いこといかないですからね!
そのギャップの中でどれだけ耐えられるか。
苦労している人は気づきやすいし、その苦労からリスクヘッジを学ぶことができます。
そこが後々大切になってきます。
開業後の不安はつきないけど、一度の人生、楽しい仕事をしたいです。
その気持ち…とても重要かな?と思ってます。

ありがとうございました。

インタビュー収録日:2022年9月12日(月)

編集後記

取材では、言葉の端々に強いメッセージを感じました。
脳神経外科専門医のキャリアから一転、美容医療に転科。
様々な苦労や経験も通じて、今日のミニマム開業というゴールを見つけました。
これからも更に精進していく姿勢に、謙虚さと推進力を感じた取材でした。

店頭イメージ写真
LilaClinic土佐 将人院長

プロフィール

Lila Clinic 土佐 将人 先生

脳神経外科の専門医取得後、2015年大手美容クリニックに転科を果たす。都心部にある分院長などを経て、地方院に異動。美容外科約7年にわたり幅広い施術、手術に携わる。 知識・技量の集大成を試み2022年 Lila Clinic開設。

https://www.lila-clinic.com/
https://www.instagram.com/ lila_clinic_tosa/